番外編(川島雄三作品) NEW 2014.6.4
『花影』 川島雄三監督
1961年 東京映画

NEW 2018.4.8 画面写真追加


先日、新文芸座の川島特集でも上映された、大岡昇平原作の文芸映画『花影』。
残念ながらDVD、ビデオとも映像化されたことは無いです。
過去にスカパーの日本映画専門チャンネルでは何回か(数年前には一度ハイビジョン映像)放送されています。

ロケ写真は、東京・港区の地下鉄・南北線「麻布十番駅」近くの「二之橋」と「古川」。
ここを見つけるきっかけは映画の中の台詞にヒントがありました。

ラスト近く、銀座のバーのホステス・足立葉子(池内淳子)と馴染みの男・高島謙三(佐野周二)が二人で墓地を歩く。そこでの会話。
佐野「お葉(=池内淳子)も確かこの辺の生まれだったな」
池内「可愛がってくれた叔母が、よくその先の十番の夜店に連れて行ってくれたわ」

佐野の家はお寺の横にあり、目の前には川が流れていて橋も見えます。
対岸にはビルと公園があり。この場所で池内、佐野が川べりの高台に座って会話するシーンは映画の前半にも出てきます。

さて、台詞の十番とは麻布十番のことと推測して、麻布十番の近くで川と橋と公園とお寺がある場所はないかとグーグル地図で検索すると
ずばりの場所が「二之橋」近辺に見つかりました。
現在は上に首都高速が走っているが、お寺は「二之橋」の横に「円徳寺」(港区三田)というお寺があります。


1枚目の写真は対岸の公園から撮影したもの。
前方の橋が「二之橋」。川は「古川」で「渋谷川」の下流の名称とのこと。
ネット検索すると江戸時代の広重の「名所江戸百景」の中に「広尾ふる川」として四の橋近辺の風景が描かれている。
木々のあたりが佐野の家があったと推定できる場所。映画ではもっと木は小さい。
2枚目の写真は「二之橋」の手前の「小山橋」から撮ったもの。前方の奥の橋が「二之橋」。
中央左の木々のあたりに墓地があり、古川に面した高台で佐野と池内が会話する。写真の右側には公園と集合住宅のようなビルがある。
さすがに佐野と池内が座っていた場所には行けないので対岸や橋から撮影してみた。
川本三郎さんの多くの著書をはじめ、昔の日本映画のロケ場所を書いた本はたくさんあるが、私の知る限り『花影』のこのロケ場所が書かれたことは無いと思われる。



同じく対岸から撮影した写真。はっきりと墓地(円徳寺)が映っている。
『花影』の画面を観る限り、ロケーションはこの場所に間違いない。
このように川に面して墓地があるのは都内でもかなり珍しいのでは。




逆に「二之橋」から「小山橋」の方を撮影した写真。
映画にはこちらからのアングルは無い。
写真の右側の木々のあたりが佐野の家と墓地の場所。左側のビルの奥の方に古川に面した公園がある。
映画では川の水量がもっと多く、ごみも浮かんでいて「どぶ川」のように見える。
現在は水量が少ないが、思ったより水は綺麗。


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